いま思うと高校時代のぼくたちは、様々なシチュエーションの中で何かしら「エロ」の発掘をしていた。
今回はそんな高校時代の、すごく興奮したけれど結果的に恥ずかしい思いをした、ちょっとアホなエピソードのひとつを紹介してみようと思う。
女子柔道部員と一緒に練習をする
ぼくが通っていたのは公立高校の普通科だったが、なぜか体育の授業が週5回もあり、体育教師がやたらと幅を利かせていた学校だった。
水泳や持久走の授業を休むとペナルティーが与えられ、後日、補講を受けなければ卒業できないという馬鹿げたルールまであった。
2年生になると体育の授業は5回のうち1回が保健の授業に代わり、実技は週4回になったのだが、そのうち2回は柔道の授業(男子のみ)で、これがまた厄介なのだった。
柔道着の下には何も身に付けてはいけない決まりになっていた(柔道部員のあいだではそれが普通だと聞いた)。つまり素っ裸の上に柔道着1枚を着ているだけなのだった。
動いているときは常に柔道着の下でチンコをブラブラさせていたし、柔軟体操や寝技の練習中などに下半身を畳にこすりつけてしまうと、危うく勃起してしまいそうになるのだった。
また、夏休みに入ると柔道部員ではない生徒も朝7時から朝練に参加しなければならず(3回以上参加しないと単位がもらえなかった)、早起きが苦手なぼくにはけっこうつらい時間だった。
そんなつらい朝練の中にもひとつだけうれしいポイントがあった。女子柔道部員と一緒に練習ができることだった。
高校の体育の授業で男女が一緒に何か競技をすることはまずない。しかし夏休みの朝練では、2年生の男子が同じ日に大勢参加するから、指導者の人数が足らず、柔道部員がアシスタントをすることになっていたのだった。
準備運動の最中に勃起してしまう
柔道の授業では、実技練習に入る前に入念な準備運動をする。柔軟体操や腕立て伏せ、腹筋運動などをするのだが、この準備運動の段階で早くも勃起してしまう男子はいた。
先にも書いたように、柔道着の下には何も身に着けていない。チンコは常にブラブラした状態なのだった。
体が硬くてうまく柔軟体操ができない生徒がいると、アシスタントの柔道部員が背中を押してくれる。それが男子部員だったら問題ないのだが、女子部員に背中を押されると、ついうれしくなり、中には股間がうずいてしまう男子もいるのだった。
幸か不幸か、ぼくは体が柔らかいほうだったから背中を押されることはなかったが、ふと隣を見ると、同じクラスの男子が女子部員に背中を押してもらっていて、うれしそうに鼻の下を伸ばしていた。
腕立て伏せをしたときに、ぼくも一度だけ油断して半勃起してしまったことがあった。
柔道の腕立て伏せは普通のスタイルとは違い、両足を大きく開き、腕をプッシュアップするというより、体をスライドさせるような動きをするのだった。要するに、セックスの正常位に近い動きなのだ。
体をスライドさせる際に下半身を畳にこすりつけてしまうことがあるのだが、その刺激が快感に変わるとマズい。
柔道着の下にパンツをはいていないから刺激が伝わりやすい。しかも目の前には手本を見せてくれている女子柔道部員の姿が…。
女子部員の腰の動きを見ながら体をスライドさせているうちに、ぼくはだんだん快感を覚えてきて、気がついたときには半勃起状態になっていたのだった。
おそらく、ぼく以外にも同じような状態になっていた男子はいたはず。中にはフル勃起していた男子もいたかもしれない。さすがに度が過ぎて射精してしまったという話は聞いたことがなかったが。
打ち込み練習で女子柔道部員のオッパイを触る
列に並んでひとりずつ打ち込みの相手をしてもらうのだが、女子部員に相手をしてもらうのが照れくさいこともあって、だいたい6:4くらいで男子部員の列に並ぶ生徒のほうが多かった。
しかし、ぼくは迷わず女子部員の列に並んだ。同じクラスの赤坂と杉岡(ふたりともエロいことに目がない)もぼくと一緒に並んだ。
女子柔道部員にはお世辞にも可愛いと思える子はいなかったが、相手の柔道着の襟元をつかんで引っ張り合うわけだから、最初はかなり緊張した。
当時の男子高校生なんてまず女性経験がなかったから、相手の胸元に手を伸ばすなんてほとんど自爆行為に近かった。
女子部員は柔道着の下にTシャツを着ていたから、さすがに襟元がはだけてオッパイが見えてしまうことはなかったが、たまに胸のあたりに手が当たってしまうことはあった。
ぼくが相手をしてもらった女子部員はけっこう胸が大きかった。襟をつかんだ手が彼女の胸に当たったとき、一瞬だったが、ぽよよ~んとした柔らかい感触が伝わってきて、ぼくは思わず口元をゆるめてしまった。
その瞬間、女子部員の目つきが鋭くなった。ぼくをにらみつけたかと思うと、あっというまに背負い投げを喰らわされてしまった。
体がふわっと宙を舞い、気づいた時には畳の上にたたきつけられていた。何が起きたのかわからず、ぼくはしばらく呆然としていた。女子部員のオッパイがすごく柔らかかったことだけはしっかりと覚えていたが。
「災難やったなぁ」「ドンマイ、ドンマイ」赤坂と杉岡がぼくの肩をたたいたが、そのあとふたりも同じ目に遭い、しょんぼりしていた。
女子柔道部員に寝技をかけて大興奮
寝技の練習もあった。「寝技乱取り」という練習で、互いに背中合わせの状態から審判の号令で乱取りを始め、寝技をかけ合うのだった。
体重が近い10人ずつぐらいのグループに分かれて練習するのだが、軽量級のグループにはたいてい女子柔道部員がアシスタントに付いていた。
幸運にも、ぼくと赤坂は軽量級のグループだった。体の大きな男子たちがみなぼくたちのことをうらやましがってブーブー言った。
とはいえ、女子部員を相手に寝技をかけるなんてかなり勇気のいる行為だった。男女が畳の上で絡み合うわけだから、ほとんどセックスをしているのと同じだった。
ひとりずつ順に乱取りをしていくのだが、そのたびにべつのグループから盛大なひやかしの声が上がった。
授業では「袈裟固(けさがため)」と「横四方固(よこしほうがため)」という二種類の寝技を習っていたが、夏休みの朝練では「袈裟固」しか使ってはいけないルールになっていた。
これは、暗に女子部員に配慮したものだったのだろう。「横四方固(よこしほうがため)」では相手の股の間に腕をくぐらせるなど、どうしても密着度が高くなってしまうから、男女が一緒になる場面では禁止されたのだと思う。
【袈裟固(けさがため)】
【横四方固(よこしほうがため)】
女子部員を相手に真剣に寝技をかけようとする男子はいなかった。女性と体を重ね合わせた経験などない男子がほとんどだったから、照れくさいやら恥ずかしいやらで、女子部員とまともに体を密着させることができないのだった。
ぼくもやはり同じで、女子部員の首筋に軽く腕を回すのが精いっぱいだった。さらっとした髪が腕に触れ、甘酸っぱい体臭をかいだだけで頭がくらっとしてしまい、力が入らなかった。終始ニヤニヤしているしかなかった。
調子に乗りすぎたアホな男子の末路
そんなフワフワした感じで全員が寝技乱取りを終えると思っていたのだが、最後の最後で事件が起きてしまったのだった。
誰よりもエロいことに目がないクラスメイトの赤坂が暴走してしまったのだ。
最初は「袈裟固」をかけていたのだが、体育教師がべつのグループを指導している隙を見て、急に「横四方固」の体勢に持って行ったのだった。
ぼくも含め同じグループの男子はみな「なんかヤバくない?」という顔をしたが、誰も止めようとはしなかった。
赤坂は女子部員の股の間に腕を入れ、胸に顎を押し付けると、ぐいぐいと締め付けていった。赤坂の手が女子部員の太腿や尻に当たっていた。
赤坂はぐっと歯を食いしばっているように見えたが、目が笑っていた。女子部員は技をほどこうと必死になって抗っていた。
柔道部ではたまに合宿などで男女合同で練習する機会があると聞いていたから、男子から技をかけられること自体は初めてではなかったのだろう。その女子部員も不快な表情は見せず、何とかして赤坂の体勢を崩そうとしていた。
しかし調子に乗りすぎた赤坂が、そこでさらなる暴挙に出たのだった。
股の間にくぐらせた腕を器用に動かし、女子部員の股間をこすり始めたのだった。最初は女子部員のほうが体をずらしたせいでそうなったのかと思ったが、違った。
赤坂が故意に女子部員の股間を狙ったのだった。これはさすがにまずい、やりすぎだとぼくは思った。周りを見ると、気まずそうにしている男子もいれば、興奮気味で前のめりになっている男子もいた。
不謹慎ながら、ぼくも興奮していた。股間がうずき、そろそろ危うくなってきていた。柔道着の下のチンコが硬くなり始めていて、上着の裾を引っ張って隠した。
女子部員は相変わらず赤坂の体勢を崩そうと必死になっていたが、そのうち彼女の顔に不快な表情が浮かんでくるのが見て取れた。赤坂の手があきらかに女子部員の股間のきわどい部分に触れていたのだ。
「おいっ、誰かあいつを止めろ!」男子のひとりが声を上げ、周囲がざわつき始めた。
異変に気付いた体育教師がすかさず割って入り、フンコロガシのように女子部員にしがみついている赤坂の体を引きはがした。
「貴様っ、何やっとんじゃ、こらっー!!」
体育教師は怒声を上げ、赤坂の胸倉をつかんで吊るし上げると、強烈な一本背負いで畳の上にたたきつけた。勢い余ってワンバウンドした小柄な赤坂の体を再び吊るし上げると、こんどはものすごいスピードで払い腰を喰らわせた。
この二発で完全に伸びてしまった赤坂は、ぼろ雑巾のように畳の上に転がっていた。体育教師はさらに赤坂の胸倉をつかんで起き上がらせようとしたが、赤坂は死んだイカみたいにふにゃっとなっていて、まったく反応しなかった。
道場内はシーンと静まり返っていて、ほとんどの男子が呆然としているか、うつむいたままだった。
赤坂は医務室へ連れていかれたが、べつに何ともなかったようだった。「抵抗したら余計にやられると思ったから死んだふりしてただけ」と、あとで彼はそう言っていた。
ひとつだけどうしても気になっていたことを、ぼくは赤坂に聞いてみた。
「女子柔道部員って、柔道着の下にパンツはいてた?」
「うーん、どうやったかなぁ…」赤坂は首をかしげた。
赤坂はたしかに女子部員の股間を触ったと言っていたが、下着をはいていたかどうかはわからなかったという。
「さすがに女子はパンツはいてるんじゃないの?上はTシャツ着てるし」
赤坂は笑いながらそう言ったが、もし男子と同様に女子部員も下着をはいていなかったのだとしたら、ぼくたちはかなり危うい状態、危うい状況の中で授業を受けていたことになる。
万が一、寝技の練習中に男子が勃起してしまい、女子部員の下着をはいていない股間に当たってしまっていたら…。
だがそんな心配はなくなったようだった。その翌年から夏休みの柔道の朝練に女子柔道部員が参加することはなくなったと聞いた。